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2009年6月24日水曜日

卵の側に立つ/村上春樹

[村上春樹] ブログ村キーワード

 村上春樹の長編「1Q84」(新潮社)が145万部も売れていると日本では大騒ぎだ。
村上春樹は日本で有名な小説家だと言うことは海外でも知られている。このベトナムでもそうだ。
ただ学生から質問されると困ることがある。それは村上春樹の作品は読んだことがないからである。いや、かなり前に読んだような気もするが記憶にない。

自称、青年時代は文学青年の私は彼が世に知られる頃には文学とはほど遠い世界に生きていた。世代も違う。

そして、今年になって急に彼の名前がネットで飛び交う様になった。それは今年2月のエルサレム賞が決まった直後からだ。パレスチナ問題に関わるネットで彼に受賞をボイコットする要請署名活動も展開された。
パレスチナの支援活動に関わっている者からすると、村上春樹がイスラエルからエルサレム賞を授与されることは許せない、ボイコットすべきであると考えたのである。

一部には受賞は個人の問題だからいいではないかという意見もあったが、私は要請活動は否定しない考えだった。

要請を受けてどうするか考えるのは村上春樹である。

結果は、彼は授賞式に出席して下記の趣旨の講演をした。
文学者らしい表現であるが、「私は卵の側に立つ」と言っている。これは私はパレスチナ側に立つと言っていると理解できるのである。
文学者としてはこれ以上の発言はないだろうと、私は感動した。彼の小説を読んで居ない者としては、彼の思想の一部を垣間見る気がした。

多くのパレスチナ支援をしている人々も共感と感動をもって彼の発言を支持したと思う。

結果的には、ボイコットよりも授賞式で堂々と下記の講演をしたことの方が影響は大きかったと思う。
今まで、村上春樹の名前は知っていても彼の小説とは縁の無かった多くの平和活動に関わっている人々は共感をもって彼を迎えた。

以上のような経緯があり、それも今回の爆発的な本の売れ行きに繋がった一因のような気がする。

『村上春樹さんの講演要旨』
配信元:産経新聞
2009/02/16 10:23更新

 作家の村上春樹さんが十五日行った「エルサレム賞」授賞式の記念講演の要旨は次の通り。

 一、イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの非武装市民を含む1000人以上が命を落とした
。受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わ
ないより話すことを選んだ。

 一、わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことだ
。どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ。壁の側に立つ小説家に何の価値がある
だろうか。

 一、高い壁とは戦車だったりロケット弾、白リン弾だったりする。卵は非武装の民間人で、押しつぶされ、撃
たれる。

 一、さらに深い意味がある。わたしたち一人一人は卵であり、壊れやすい殻に入った独自の精神を持ち、壁に
直面している。壁の名前は、制度である。制度はわたしたちを守るはずのものだが、時に自己増殖してわたした
ちを殺し、わたしたちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させる。

 一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度
にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわた
したちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。

(共同)


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